隣のクラスの転校生【完】


あの日から私は桐生渉には話しかけられないようになった。

話しかけられるようになってから寝不足が続いていたが、話しかけられないようになってからのほうが寝付けないのだ。


結局四六時中桐生渉のことばかり。


そんな自分が嫌になる。

「美織知らない間に好きになったんじゃないのー?」

と真美がにやにやしながら聞いてくる。

「そ、そんなわけないっ。何言ってんの?あんなタラシ…」

まさか。好きなわけない。あんな奴。ありえない。考えたくもない。真面目しか取り柄がない私が、桐生渉みたいなずっとスポットライト浴びて、異性に囲まれて過ごしてきたようなチャラ男なんて…。

イケメンなのは認める。ただ性格がいいかなんて私には分からない。桐生渉はいつも一人で話していたけどくだらないことばかり。性格まで知っている仲じゃない。

そう自分に言い聞かせて、ぽっと出来た心の穴。