「市村さん。」 私、市村美織。ごく普通の公立高校に通う高校一年生だ。 そんな私は今。名前を呼ばれて心臓が口から出てきそうなくらい驚いている。いや、パニックに陥っている。 「あれ?無視?酷いなぁ。」 なんだこいつ。なんで私は隣のクラスの転校生である桐生渉に話しかけられているんだ。 とにかく私はこいつが大嫌いなのに。 話は桐生渉が転校してきた三ヶ月前に遡る。