正反対ですから!【完】



奴に焦点を合わすと、ニコッと効果音のつきそうな笑顔がみえた。…嘘らしい笑顔。

でも顔はイケメンそのものの顔で、少し日本人離れした顔立ちをしている。…なんかクォーターだとか言ってたかな。イケメンなだけあって性格は極上に悪い。


サッカー部で顔も最高でこの上なくモテるらしい。


…まぁとりあえず挨拶でもしておいて帰ろう。無駄に絡むのも嫌だし、仲良くなんて絶対なりたくないし。


「……さ、さよなら」


とにかく急ぎ足で、冷静に、真顔で、教室を出ようと、奴の横を通り過ぎる。


よし。終わった。


「待って、大倉さん」


ビクッ


恐る恐る振り返ると、その嘘らしい笑顔があり、背筋が凍る。


「…な、んですか?」


自然と出た敬語。恐怖のあまり震える足と手は私がいくら彼のことがキライかを表している。