「なあ、他に男でもいるのか?」
「男?」
他にもなにも、ひとりもいないが、ひょっとして志信くん自身を“男”の勘定に含めているのか。
「どうして、俺の渡した番号にどうして掛けてこなかった?」
……心臓が止まるかと思った。
まさか、石段ですっころんで抱き止めてもらったのが私だということを覚えているとは思わなかった。
志信くんも今まで一度もそのことを口にしなかったではないか。
「あ、あれは……からかわれているって思ったから……」
しどろもどろになって言い返すと、「ふーん」と冷たく返事をされる。
ゴミ箱に捨てたなんて知られたら、とてつもないブリザードが吹き荒れそうだ。



