この大都会にいられるのは、ひとえに安定した収入と健康な身体があるおかげだ。
自分で自分を養うことさえできれば、他人に干渉されることがないのは良いことではあるが、一度でも働くことをやめてしまえばあっという間に都会の闇の中に飲み込まれてしまうのは恐ろしい。
(もう、寝よ寝よ)
もそもそとベッドに潜り込むと、冷たい布団の感触が火照った体にちょうど良かった。
リモコンで蛍光灯の明かりを消すと、淡い光が室内に仄かな影を落とした。
そういえば、今日は満月だった。
カーテンを閉めていなかったことを思い出したが、まあいいかと寝返りを打つ。
ひとりで寝ることには慣れているはずなのに、今日はちょっぴり物悲しい。
もしかしたら私は……自分が思っているより寂しがり屋なのかもしれない。



