「どこに行くんだ?」
「トイレだけど……」
ありがたいことにこの離れには専用のトイレ、お風呂、玄関と、小さいながらも台所が備わっており、ひっそり暮らす分には困らないようになっていた。
外出の際には離れ用の通用門を使用すれば、本宅に住む人と会うことはほとんどない。
きっと、会っても気まずいだけだろう。
「ねえ、なんでついてくるの?」
「逃げるかもしれないだろう?」
私はあえて声を上げて罵った。
「もう!!子供じゃないんだから、大人しく待っててよ!!」
強い口調で叱りつけるとシュンとうな垂れて部屋へと戻って行った。
……この分だとお風呂も一緒についてきそうだ。



