「で?何しに帰って来たの?」
練習も終わり生徒を一人残らず家と寮に帰すと、日もすっかり暮れてしまった。
地域でもスポーツ強豪校として有名とはいえ、20時以降の部活動は勉学に支障が出ると禁止されている。
殊勝なことに片づけを手伝ってくれた貴子は、地面に敷かれたラダーを仕舞いながら言った。
「来週、日本を発つからその前に両親に会いに帰ってきたの」
貴子が日本代表の切符を勝ち取った国際大会は2週間後に異国の地で開催される。他の選手と一緒に1週間前には現地入りして、入念な調整に入る。
普段からひと月に1度のペースで帰郷しているとはいえ、慣れない海外に行くとあっては過保護なご両親も心配になるとふんで、わざわざ顔を見せに来たのだろう。



