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……もし、人生で起こること全てに意味があるのだとしたら。
陸上をやめたことも。
“カグヤ”となったことも。
彼に恋をしたことも。
何か特別な意味があったのだろうか。
運命というものが本当にあるならきっとこの先の長い人生にも、沢山の喜びや驚きが用意されているに違いない。
私は今日も目隠しをして、運命が用意してくれた畦道を歩いていく。
落とし穴があったとしても這い上がればいい。
壁にぶつかったらよじ登ればいい。
疲れたら夜空に浮かぶお月様と一緒に眠ればいい。
そうしていれば、広い屋敷の中に残してきた彼のことを忘れてしまうだろうと高を括っていた。
……不思議だね。
何日経っても、何ヵ月経っても、一度だって忘れたことがないの。
“小夜……”
……愛しい人を呼ぶような甘い旋律はどこから聞こえてくるの?



