「真尋!!俺だ!!」
枕元で懸命に叫ぶと、目を瞑っていた真尋がうっと眉根を寄せた。
「志信……さん……?正宗……?」
久し振りに聞く真尋の声に顔を綻ばせたのは俺達だけではなかった。
脈拍を数えペンライトで瞳孔の様子を調べ聴診器で心臓の音を聞くと、真尋の兄であり、主治医でもある朧は言った。
「真尋……よく目覚めたな……」
「兄……様……」
感動の対面になるはずであった場面は、真尋が朧の顔を見るなりパシンと思い切り頬を打ったことで台無しになった。
「兄様は最低よ。橘を志信さんに渡せと脅すばかりか、小夜さんを追い詰めるためにあんなに酷い嘘をつくなんて…」
頬を打たれた朧も、俺と正宗も唖然としていた。
ずっと眠っていた真尋が小夜のことを知っている自体がそもそもおかしいのに、朧が小夜を脅していたという事実まで暴露してしまった。
しかし、疑問を投げかける余地すら与えられない。
真尋は自力で布団から起き上がると、怒りで拳を震わせて言った。
「私と志信さんが恋人同士ですって!?そんな事実は一切ないじゃない!!」
「真尋?どうして知っているんだ……?」
「勾玉のお姫様がすべて教えてくれたわ。小夜さんは私のために身を引いて出て行ったのよ……」



