“命の短い私との結婚を誰もが……身内である父や兄ですら反対した。成典様のお力でも私の身体は治せなかったの。それでも、成典様は諦めなかった。
力の噂を聞きつけた帝に宴の余興に舞を言いつけられた時だって、結婚の許しを得るために皆の機嫌をとるのだと陽気に笑っていたわ”
「豊姫……」
このまま、最後まで聞かずに耳を塞ぐことができたらどんなに良いだろう。
もういいよ!!と叫んでしまいそうになるのを、歯を食いしばることで耐える。
時は容赦なく残酷なまでに誰にも等しく流れていく。
愛する人との結婚を夢見る幸せな時を永遠に閉じ込めておくことは出来なかった。
“……私が死んだのは宴の夜のことよ”
「ああ、豊姫……!!」
豊姫の気持ちを思うと抱きしめずにはいられなかった。
愛しい人を亡くすのと、愛しい人を残して亡くなるのと、どちらの苦痛の方が大きいのだろう。
この世に残った人間には死者の気持ちを聞くことは出来ないが、先に逝った方だって身を切られるように辛いに決まっている。
豊姫の手が私の頭を撫でるように何度も往復していく。



