(妹……?)
朧先生の言葉に素直に驚く。妹にしては随分と歳が離れているように見えた。
彼はおそらく30代前半だが、布団に横たわる彼女は志信くんと同じくらいの年齢、ともすればそれよりも幼く見える。
「彼女が“真実”なの……?」
「そうだ」
朧先生が私を脅すようにドンっと派手に壁に手をついても、彼女……真尋さんは起きなかった。
「……君と志信のことは調べさせてもらった」
朧先生は気味の悪い薄ら笑いを浮かべながら言った。
「見目麗しい年下の男との半同棲生活は楽しかったか?」
わざと厭らしい言い方をされて頬に朱が走る。少し調べたくらいで、私達の何がわかるというのだ。
「やめてください……!!」
私は誰にも恥じるようなことはしていない。何も知らないくせに勝手に邪推して欲しくなかった。褒められたことではないかもしれないが、あの時間は互いを深く知り合うためには確かに必要だった。
「悪いが君達の恋愛ごっこに付き合っている暇はないんだよ。真尋には時間がない」
朧先生は私に逃げる隙も与えず唐突に胸倉を掴むと険しい表情で凄んだ。



