「小夜―!行かないのー?」
「折角だからお参りしてから行くー!」
「先に行ってるよー!!」
二次会は場所を移して、都内のホテルで行われる。友人達は先に向かって二次会用のパーティードレスに着替えるそうだ。
友人達と別れて、拝殿へと続く石段をひとりで上っていく。
困った時の神頼みなんてしたことない私がこんな行動をとったのは、月岩神社に縁結びのご利益があるなんてうっかり聞いてしまったせいだ。
(披露宴も素敵だったなあ……)
うっとりと夢見心地で披露宴の余韻に浸る。
朱色の色打掛は鈴花の白い肌に良く映えて、お神酒を呑んだせいで頬がほんのり桜色に染まっていた。結婚式のお約束である花嫁から父母への手紙なんて、関係ない私がほろりと涙を流してしまいそうになってしまった。
(最近、涙もろくなって困っちゃうなあ、もう)
私は賽銭箱の前までやってくると背筋を伸ばした。小銭を放り込んでぶら下げられている綱を揺らして鈴を鳴らすと、その場で二礼二拍手。



