「っつ……!!」
必死になって走っていると、急に膝から力が抜けてその場に倒れこんでしまった。
地面にぶつけた肘と膝は砂利や小石で擦れて血が滲んでいた。熱があるというのに激しく動いたせいなのか次第に意識が朦朧としてくる。
私の足がいくら常人より早くても、空を飛んでいる豊姫には敵わない。当たり前のことに気付けないほど、判断力が鈍っているのはひとえに厄介な風邪のせいに違いない。
(追いかけなきゃ……)
……まだ豊姫と友達でいたいなら追いかけなきゃ。
そう思っているのに身体は鉛のように重く、起き上がることも出来そうにない。
何もできない無力な自分が悔しくて、拳を痛いほど握りしめる。
(豊姫、やっぱり寂しいよ……)
これまで我慢していた想いが溢れ出て、誰も見てないことをいいことに子供のように啜り泣く。身体と一緒に心も弱ってしまったみたいだ。
いつまでも地面に伏せて一向に泣き止まない私を怪訝に思ったのか、人影が近づいてくる。
「……大丈夫か?」
(だ……れ……?)
……無様な私を見下ろしていたのは白衣を着た男性だった。



