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神前式は厳かに行われた。
式場から神社の境内の中央にある神楽殿まで斎主・巫女に先導されて歩く参進の儀に始まり、修祓・祝詞奏上・誓盃の儀・神楽奉納・誓詞奏上・玉串奉奠・指輪交換・親族盃の儀と、次々と式は進行していく。
私は神楽殿の後方に用意された友人席から、静かにその様子を見ていた。
鈴花の白無垢の隣に並ぶ俊明さんも負けず劣らずの男ぶりで、指輪交換のときなど幸せそう微笑む姿は、鈴花に対する愛情の深さを思い知らせた。
(良いなあ……)
私もあんな風に愛おしげに誰かに見つめられたい。生涯、愛を貫くと誓い合って添い遂げたい。
そんな思考に至ったことに自分でも驚く。鈴花の結婚に触発されたのだろうか。
……そろそろ、真面目に相手を探すべき時がきているのかもしれない。
斎主の挨拶を聞きながら、私は未だ見ぬ最愛の相手を思い描いていた。
身長は私より少し高いくらいが良い。手を繋いで歩いてくれれば満足だ。
お金持ちじゃなくても良い。ふたりで暮らせる収入があれば事足りる。
顔はイケメンじゃなくても良い。毎日イケメンさんと一緒にいたら気が休まらないもの。
ねえ、いったい理想のあなたはどこにいるの?



