俺は……“カグヤ憑き”にこびへつらうあいつらが嫌いだ。人間として嫌悪していると言ってもいい。
本来、命は平等に扱われるべきものだ。舞をしているとよく分かる。万物は神の意思に沿って生まれ出るものであって、そこに貴賤はない。金と権力の大きさで、救う命と救わない命を選別するのは愚かでバカバカしい行為だ。
俺にもっと力があったなら……。
そう思ったのは一度や二度ではない。
“カグヤ憑き”の力は世代を超える度に少しずつ弱まっている。
成典の時代には出来た多くの奇跡は失われ、今では不可能とされている。“月天の儀”のような仰々しい儀式形態を保たなければ、俺達は満足に力もふるえない。
時代錯誤の力など淘汰されるべきだ。現代医療の方がよっぽ人様の役に立っている。
……それでも、“カグヤ憑き”に縋ろうとする人は後を絶たない。
俺は今宵も舞うだろう。彼らに代わって神に祈りを捧げる。
たとえ、この身が朽ちて滅びようとも。



