目覚まし時計のけたたましいベルの音を合図にもう一度目を開けると、小夜はまだ眠たそうに目を擦っていた。
「おはよう」
「おはよう……」
起床の挨拶もそこそこに煩く鳴っている時計のベルを止めて、布団から這い出そうとするのに、一抹の寂しさを感じて俯せの身体にのしかかって無理やり布団の中に戻す。
「志信くん?な、なに!?」
小夜は良からぬ気配を察したのか、慌てふためいて手足をばたつかせた。いかんせん反応が遅すぎる。
「油断しすぎ」
だから俺みたいな男につけこまれるんだよ。
浴衣の後ろ衿を手で引き下ろし無防備なうなじを舌でなぞると、ひゃっと色気の欠片もない悲鳴が聞こえた。
「もう……ふざけないでよ……」
ふざけているとは心外だ。
……俺がどんな想いであんたを待ち望んでいたか、知らないくせに。
「ふざけてない」
露わになった肩に唇を押し付けると、小夜は声を殺し、顔を真っ赤にして悶えていた。
固く握られていた手を解き、指を絡ませて布団に押し付ける。



