“みんな、泣いていたわ。帰りたいって……。嘆きながら死んでいった。私には彼女達の気持ちがよく分かる……”
“カグヤ”達の苦しみを間近で見ていた豊姫はどんなにか辛かっただろう。
「泣かないで……」
半透明の身体には触れられないので、涙を拭うことは出来ない。それでも、私は豊姫を慰めるように背中に腕を回す。
(……志信くんは知っていたのかしら)
お金で買われた“カグヤ”達と自分の姿がどうしても重なってしまう。
“カグヤ憑き”が“カグヤ”にしてきた仕打ちはあまりにも酷い。踏みにじられた想いはどこにも辿りつけず降り積もったまま今もこの鳥籠の中にあり続ける。
“志信に心を許してはダメよ”
芽生えた不信感は不安という養分を得て、大きく育っていく。
志信くんもかつての“カグヤ憑き”と同じ、自分勝手な人間なの?傍にいたいと望んだのは間違いだったのか?
……自分の気持ちに迷いが生じたその時だった。
星空の下、彼とふたりきりで過ごした夜の出来事が鮮明に思い出された。



