**********
「げ……!!」
私は鈴花から届いたメールを見るなり、盛大に呻いて顔を手で覆った。
しばしの逡巡の後、もう一度文面を目で追う。
“今度の土曜日、一緒にランチしない?
この間の話の続きを聞くから覚悟しておくように!”
何度読んだところで内容が変わることはなかった。
(どうしよう……)
あの日以降、鈴花から音沙汰がなかったので忘れたものと思ってすっかり油断していた。
「どうした?」
何事かと壁に寄りかかって本を読んでいた志信くんが傍にやって来て携帯を覗き込んできた。
「鈴花からランチに誘われた……」
ランチを口実にして、邪魔されないところで根掘り葉掘り聞くつもりだ。絶対そうだ。
接客業(女将修行中)の鈴花が土曜日に休みをもぎ取るなんて、よほどのことがない限り許されない。これは相当、気合が入っているに違いない。



