(どうして……こんな……)
……心臓が早鐘を打つ。
私は口元を押さえて、懸命に感情を押し殺した。
髪の毛が当たってくすぐったい。息遣いまで聞こえてくる。
忠誠を誓う騎士のような志信くんの行為は、ひたすら羞恥心を煽った。
年下の男の子にかしずかれ、キスまでされると、何とも言えない背徳的な気分に陥ってしまう。
「もっと早く出逢っていれば治してやれたのに……」
心底悔しそうに言った志信くんの気持ちが痛いほど伝わってきて、涙が出そうになった。
「ありがとう……志信くん」
あの頃の苦悩も。行き場のない悲しみも。
全ては遠い過去の記憶だけれど。
私を形作る大事な一部を志信くんはまるごと受け入れてくれたような気がして、胸が熱くなった。



