今宵も、月と踊る


「これは運命に違いないって確信したよ。神が俺の為に“カグヤ”を遣わしたんだって」

「志信くんは私が“カグヤ”だってすぐに分かったの?」

「当たり前だろ?だから番号を渡したんだろ。音沙汰はなかったけどな」

志信くんは拗ねたようにそっぽを向いた。

(結構、根に持つタイプなのね……)

私は仕方なく正直に白状することにした。

「ごめんなさい。実は捨てちゃったの……」

「そんなことだろうと思ってた」

志信くんは先日の予想通り、ブリザードをおみまいしてきた。

「えと……怒っている?」

寒さに震えながら尋ねると、ふっと表情が緩んだ。

「怒っていない。運命ならもう一度出逢えるはずだって信じていたし、今は手の届く距離にいるからな」

(運命か……)

多用される運命という言葉が私の過去に暗い影を落としていく。