「やっと笑ったな」
志信くんは静かに微笑むとブラックの缶コーヒーのプルタブを開けた。
「俺はあんたを困らせてばかりだな。反省しておく」
自嘲気味の台詞を吐きだしてコーヒーを口に含めば喉仏が上下に揺れて、男らしい曲線美に目を奪われる。
そして、志信くんはポツリポツリと語り出した。
「……初めて逢った時、息が止まるかと思った」
“初めて逢った時”と言われて、苦い記憶が掘り起こされる。
「まさか空から飛んでくるとは思わなかったからな」
「やめてよ……」
頬が朱色に染まっていく。
……草履なんて履き慣れていなかったんだもん。
志信くんに抱きとめてもらわなかったら怪我をしていただろうから、感謝はしているけれどこれ以上からかうのは勘弁して欲しい。



