「うわあ……」
たどり着いたその場所の景色に感嘆の声を上げた。
(綺麗……)
夜闇に散りばめられた満点の星空は、まるで私達を歓迎しているかのよう。麗しの三日月は長旅に疲れた旅人を見守るように穏やかに輝き続けていた。
私は草の匂いを胸いっぱい吸い込んだ。
故郷にいた時には見向きもしなかったのに、今はひどく懐かしい。
「いい所だろう?」
「うん」
人気のない山道を抜けるとそこには見渡す限り、広い草原が広がっていた。
濃い緑は昼間に降っていた雨のせいで濡れてつやつやと光っていて、風に吹かれると溜った水が雫となって地面に落ちていく。
草原の先には小高い山もあって、頂上付近には人の目から隠すように薄雲がかかっていた。
眼下に広がる光景を称賛するのに言葉は必要なかった。
志信くんは私を草原の中にポツンと建っている小屋へと導いていく。
足元には人感センサー付きのライトが数メートルおきに設置されていて、誰かが定期的に通っていることを窺わせた。



