今宵も、月と踊る


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志信くんが運転する車は市街地を抜けると、高速道路をひた走った。

途中のサービスエリアで休憩を取りつつ2時間ほど走ると、何もなさそうな山奥の料金所で高速道路を降りた。

目立った観光地もなく、住宅地もない。都市と都市の境目のようなそのエリアは閑散としていた。

志信くんはカーナビを一切使わずに、ひたすら山道を進んでいった。

……まさか置き去りにされるんじゃ。

女性が山で置き去りにされる事件というのをテレビか何かで耳にしたことがある。確か、痴情のもつれが原因だったとか……。

背筋に冷たいものが走っていく。

彼の好意を無下に扱ったのが悪かったのだろうか。でも、こんな仕打ちはあんまりだった。

「志信くん……。えっと……」

必死になって弁解しようとすると車の速度が緩んで、やがてエンジン音が鳴りやんだ。

「着いたぞ」