月曜のオフィスは忙しい。
 受信メールの量は半端ないし、電話はひっきりなしに鳴るし、それに早苗がアシスタントをしている営業社員は、月曜に限って厄介な仕事をふってくる。
 結局あの後45分も寝てしまい、すっぴんにマスク姿で遅刻ギリギリに出勤した早苗は、PCを覗きこんで真面目に仕事をするふりをしながら、ぼんやりと週末の事を思い出していた。
 先週末は、早苗の唯一の女友達である優里が誘ってくれて、久しぶりに一緒に食事をしたのだった。何しろ公私ともに多忙な優里が週末に何も予定が無いという事自体が滅多に無いし、あったとしても、出不精な早苗が誘われて素直に応じる事など皆無に近い。
 数年来の友人でありながら、その日奇跡的とも言える会合を果たした二人だったが、早苗は正直心からは楽しめなかった。