Last Kiss



カイさんの手が、コッピの頬に飛ぶ。
赤い鮮血が飛び散る。

するとリクコさんの手が、あたしの目に当てられる。


『……アンタには…見せられない』

どうしてか、涙が出る。
暖かいけど、悲しい


『…ぐはっ……』

『…どうしても吐かねえつもりなのか?俺に喧嘩を売るとぁ随分な度胸だな?あ?』


コッピが…何をしたんだろう

こんな早朝。
しかもあたしの初夜の日の早朝。

コッピは何もしてない…
コッピは何も…


「…やめてカイさんっ!!!」

あたしはリクコさんの腕をふりほどき、目の前の光景を目にしてしまう。

「……コッ…ピ」

『…沙綾さん…』

『沙綾なんで…!!…里玖子お前…』


床に寝そべる血だらけのコッピは、あたしを見つけると、手を伸ばして来て。

あたしはその手を握る。

「コッ」

何も言わずに抱きしめられる。

座ったまま暖かい腕に抱きしめられた体は、熱を帯びてた。


『…もう、お前を抱きしめることは…俺には出来ないよ…』

「……………」

『…俺いつか、お前を殺すかも知れない』

「…それでもいい…コッピといられるならそれで」

『…駄目だ…お前の幸せは…俺と一緒にいちゃ…叶えられない。』

「孝二郎…!!!」

『……許して…?』