『お前がいなければ…!俺はこんなにつき動かされることはなかったのに……』


あたしの頭につきつけられた拳銃は、切ない声と共に震えていて。


本当は少し怖かった。
もしかしたら殺されるかも
そんな危機的状況なのに、あたしは何故か冷静で。


『どうしてだよ…なあサアヤ…どうして俺に近付いてきたんだよ…?』


そんなの決まってんじゃん
馬鹿コッピ

「……コッピが好きだから」


すると拳銃が頭から離れて、綾斗達に取り押さえられるコッピ。

あたしはリクコさんにそっと抱きしめられる。


最後に残ったのは、悲しいコッピの顔。


『…ごめん…怖かったしょ?…本当…ごめん』


リクコさんの暖かい体と腕。
前のコッピの匂いがする。


甘く、むせかえる匂いが。


『……サアヤーー!!!』


突然名前を呼ばれる。
羽交い締めにされたコッピが、あたしの方を向いて叫んでた。


何故か、切なくて。
リクコさんの腕が強められる。


「……コッピ…」

『…おら吐けよ。お前どこと取引してんだよ。さっさと吐かねえと沙綾さんと二度と会えなくなるぞ?』

『…ぐっ……』


さっきの優しかったカイさんは、どこにもいない。

コッピのお腹を蹴って。
乱暴に言葉を吐き捨てて。


「…やめて……カイさん…」

『…やめな。カイはああなると、止まらねえんだ…誰にも止められない。』