バイクで10分くらいで着いた場所は、シルバーの古い建物。
まだ薄暗い空によく似合ってる。


『こっち』

綾斗がゆっくりドアを開けて入ると、そこにはたくさんのガラの悪い人達。



『あぁ綾斗さん。お疲れ様です』

『おぅ。里玖子と良は?』

『まだみたいっす。ところで兄貴、そいつ誰っすか?』


そう言って数人の男たちが、あたしの前に寄ってくる。

すると綾斗は、その人たちの中の一人の首元を掴んで、小さな声で言う。

『あ?俺の妹だけど?手ぇ出したっけ真面目にぶち殺すからな』


すると、怖そうな人があたしの前に来て、優しく微笑んでくれた。

『綾斗さんの妹さんでしたか。うちの馬鹿がご迷惑をかけましたね。すみません』

「…いえ」

『沙綾。このでかくて怖そうで、敬語使ってるヤツが、俺の一番信頼できるヤツ、カイだ。』

『初めまして沙綾さん。貴女のことは綾斗さんから聞いています。僕は藤井火伊です。』

カイさん、か…

人は見かけによらないっていうのはこのことだなってつくづく思う。


『………ろって!離せよ!!』

『うるせぇな。お前が行かねえって意地張ってっからこうなるんだよ。』

『おまたせ。ごめんね遅くなっ………沙綾…ちゃん…?』

リクコさんが驚いてこっちを見てる。

その後ろからは、二人の人に腕を捕まれながら、渋々歩いてる…コッピがいた。


「…コッピ…」

『……サ…アヤ…お前…何でここに…』