そして、あたしの耳元で優しく囁く。
『…怖い…?』
その怖いの意味が一瞬、どっちかわからなかったけど、あたしは本音で答えた。
コッピのジャージの裾を握る手が、何故か震えて。
「…怖くないよ…」
『でも、手震えてる…』
「大丈夫…コッピなら…孝、二郎なら…ハジメテでも…怖くない…」
うつむくあたしをそっと抱きしめたコッピの手には、いつの間に外したのか、左手の小指にしか指輪がついていなくて。
「…指輪…」
『…お前とお揃いのやつだよ』
あたしの右手と、コッピの右手が絡み合う。
あたしの人差し指と、コッピの小指には同じ指輪があって。
あたしたちは、通じあってる。
わかりあってるって思えた。
だけど恥ずかしさは止まらなくて、
行動に迷いが出てしまう。
『…俺に全部任せて…大丈夫…優しくするから』
「…うん」
その声と
その瞳に
あたしは負けた。
ただ、絡む左手を強く握ることしか出来なかった。
「…孝二郎…」
『…ん?』
「…大好き」
『…俺も、愛してる』
大きい音の音楽がかかる中で、小さく微笑みあった夜を、あたしは忘れない。
あの愛は本物だったって、信じてる。
今でも。

