「えっ…なんでいきなり…」

『俺とお揃いは嫌?』

するとコッピはたくさん指輪がついている両手をあたしに差し出す。

見ると、あたしにくれた指輪をコッピは左手の小指にしてた。


「どうして…あたしにくれるの?」

『…んー何でだろな?俺もわかんねー…っと』

コッピはシロツメクサを避けるようにして、あたしの隣に座ってくれた。

『これ冠?』

「…うん」

ドキドキと緊張で、少し震える手を隠して冠を作り続ける。

するとコッピはジャージのポケットから、セブンスターと書かれた箱を取り出す。

白い背景に黒い文字と模様。
もう見慣れた箱から、煙草を一本取り出す。

「ヘビースモーカー級だね笑」

『もうヘビースモーカーだよ』

火をつけて、煙草独特の白い煙を吐き出す。


学校ではあまり見せない手。
ただでさえたくさんつけている指輪なのに、
ジャージの内ポケからまたさらに指輪を取り出して、第一関節や指の付け根に装着する。



「指輪好きなの?」

『ん。姉ちゃんも不良だし、結構買ってんだ』

目が合いそうになって、冠を作る手を見て進める。

この時初めて、コッピが自分のことを話してくれた。


「コッピ学校では普通だよね?髪も黒いし」

『普通じゃ…ねえよ?』