時計は1時4分

5時間目がちょうど始まった頃


外から見える体育をやっている後輩を見つめる。

黒いジャージだから…2年生かな


楽しそうにサッカーをする男子を見ていると、今はもう居ない、幼馴染みの顔も浮かんできて。


「…サッカー好きだったよな…リュウヤ…」

『…そのリュウヤは、お前の元カレかなんか?』


急いで後ろを振り返ると、そこにはポッケに手を入れて、こちらを見つめる、ジャージ姿のコッピで。



「…いきなりやめてよ、びっくりしたし。」

『ごめんごめん』


ゆっくりと近付いて来るコッピからは、仄かに甘い匂いがして。


「コッピ…煙草吸うの…?」

『ん~~… バレた?』


そう言うとコッピは、教室の一番端の窓を開けて、煙草を取りだす。


『…匂いとか、大丈夫?』

「大丈夫」

そっと火をつけて、煙を吐き出す。


『…煙草慣れしてんだね』

「離婚したお父さんも吸ってたし…同居してる兄ちゃんも吸ってるし」

『そう』


フーっと白い煙を窓へ向かって吐き出す。