こんな時、お母さんを思い出すのは何故だろう。
凄く楽しい…はずなのに
「お母さん!!…お母さん!!」
『…沙…綾……綾斗…』
『母さん…何やってんだよっ…!生きろよ!!俺まだ母さんに何もしてあげられてねえよっ…!!』
「そうだよっ…!!あたしもお母さんに、まだ…まだ…」
『……いい…二人共……』
「……お母さん…?」
「…母さん…」
『……強く……なりなさい…』
『サアヤ…?大丈夫か?サアヤ?』
「あっ…ご、め……」
去年の冬。
お母さんを亡くした。
お父さんとの離婚が原因で、働きずめになったお母さんは、血液の病気になった。
そして去年の冬
力尽きた
『…サアヤ?…何泣いて…』
「……何でもないっ……何でも…」
それからあたしと綾斗…兄ちゃんは、お母さんの残したお金でここに来て、今は綾斗が働いて、あたしは生きてる。
お母さんの死以来、あたしは泣き虫になった。
寂しくて、どうしようもないときもあって。
お母さんを何度も思い出して、泣いた。