「んじゃ、次、五十嵐!」
先生の声で一気に現実に戻された。俺は慌てないように心を落ち着け自己紹介をした。

――パチパチパチパチパチ
どうやら何とかなったようだ。今も頭のなかは真っ白で、おまけに手汗と脇汗をかいているのがわかった。
(はぁぁ…もう帰りたい…)
そんな俺のことは気にされず自己紹介は進んだ。そして最後の一人になった。

「それでは、最後!…神崎さんどうぞ!」
神崎、と呼ばれた少女は返事もせず立ち上がった。
(…同類か?)
と思ったが矢先、彼女は黒板まで歩みを進め、自分の名前であろう文字を書き始めた。
「神崎 凪」
そして彼女はクラスメイトの方を向き一礼をするとスタスタと自分の席に戻った。
この出来事に一瞬驚きの様子を見せたクラスメイト達はあることに気づき各々で納得した。