とりあえずそう言うしかない。 「……あんなふうに家飛び出して? あげく女子と揉めてるし……」 「み、見てたの!?」 さ、最悪! 全部見られてたってこと!? 「ハァ…… お前、本当に馬鹿」 そっと近づいた拓人君は、あたしの頬に触れる。 「た、拓人君……?」 「……叩かれてまで……」 頬を触れている手が優しく動く。 「……ありがとうな?」 「……っ」 その時、拓人君の顔が近づいたと思ったら、唇にい温かい物が…… すぐに離れたそれが、拓人君の唇だと気づくのに、そんなに時間はかからなかった。