え、でも……


「大切な物なんでしょ?
だったら…「だからもういいって!」




……だったらなんでそんな顔してるの?




「なんで……
なんで大切な物を諦めちゃうの!?」


「……」


「もういいよ!」


「あ、おい……」




あたしは家を飛び出した。




そしてそのまま学校まで走る。




……拓人君は、バカだよ!




大切な物は、諦めちゃダメなんだよ?




諦めたらそこで終わりなんだよ!?




……気づけばあたしは学校の前にいた。




早い時間に出てきたのと、走ったせいで、生徒が登校している気配がない。




「はぁ……」




ため息を吐いた瞬間に、一気に後悔し始めた。