でも、桃菜の両親が認めたとき、
「俺じゃ勝てない」
そう思った。
桃菜がアイツといて、いつも笑顔だってわかった。
悲しそうにしてんのも、全部全部……
桃菜。
普通の幼なじみって、自分で言ったけど……
俺にできるかな?
だって俺、お前しか好きになったことないし……
じわっと目が熱くなる。
……ちきしょう。
「……おい、徳山拓人」
俺は、前を歩く徳山拓人を呼び止めた。
「何。」
「もし、桃菜泣かせたら……そんときは本気で取るからな?」
睨みながらそう言うと、フッと笑って、
「上等」
と言った。
「ね、何話してたの?」
「なんもー」
桃菜、すぐには無理かもしれない。
すぐには……この気持ちを消せない。
でも、俺は見守るって決めたから……
これからは、好きな子じゃなくて、
幼なじみとして。

