そうだった。


もうすぐ1ヶ月が経ってしまう。




海外に行ってるお父さんとお母さんが、帰ってくる……。



祐の言う通り、もし拓人君の家にいることがバレたら、どうなるんだろう?




きっと、あたしも海外に連れて行かれるだろう……




それだけは、嫌!




「あ、たし……、帰る……」




あたしは祐に捕まれていた手を振り払って、図書室を飛び出した。




だから気づかなかった。




「もう、遅いんだよ……」




祐がそう呟いていたことを……




そして、もう影はすぐそこまで迫っていることに……