それからしばらくして、誰かの気配がした。
そこには、犬を連れたおばさんが……
「あらあら~、若いわね~」
なんて言いながら行ってしまった。
「も、もう帰ろ!」
恥ずかしくなったあたしは、拓人君を軽く押し返して、話題を変えた。
「ん、そうだな」
あたしから離れて、歩き出す拓人君。
慌てて後を追うと、手を差し出された。
……何?
何かちょうだいってこと?
でも、今あたし何も持ってない……
しばらくじーっと手を見つめていると、
「……バカ」
そう言って、あたしの手を握る拓人君。
あ、手繋ぐってこっとだったの!?
うわ、バカなことしちゃった……