「おい、その手離せ」 あたしの大好きな人の声が聞こえた。 そっと目を開けると…… 「た、くと…くん?」 そこには少し息を上げている拓人君がいた。 「……徳山拓人……」 「聞こえねぇのか?その手離せって言ってんだろ?」 聞いたことのない低い声に、あたしも祐も息を呑む。 スッと離された腕。 「桃菜、こっち来い」 そう言う拓人君の後ろに行く。 「桃菜は俺のだ。気安く触んじゃねぇ」 そう言う拓人君に、胸が締め付けられる。 「……やっぱり付き合ってたか」 「だったら何?」