「だから、ここにいろ」
いや、ここにいろと言われても困る!
今日に限って保健の先生はいない。
ってことは、授業が終わる1時間は二人っきり……
昨今の今で、ハードルが高過ぎると思うのですが?
「桃菜ー」
ビクッと上がる肩。
意識してきたときに名前を呼ばれると、過剰に反応しちゃうよぉー!
「な、何……?」
「おいで」
「え?!」
そう言い手を広げる拓人君。
おいでってっ!
む、無理だから!
なかなか来ないあたしに痺れを切らしたのか、立ち上がった拓人君。
そしてそのまま、立ったままのあたしの腕を引いた。
「きゃっ!」
バランスを崩したあたしは、そのまま拓人君の腕の中へ……

