病院に着いたとき、ゆりはもう手術室に入っていた。
ゆり……
大丈夫だよな?
俺は、泣いている母さんと、険しい顔のままの父さんを横目に、ただただ手術が終わるのを待つ。
………どれだけ時間が経ったのか、手術中のランプが消えた。
中からは先生が出てきたけど……
その顔は固い表情だった。
「先生!
ゆりは、ゆりは……っ!」
「お母さん、落ち着いてください」
医者は至って冷静そのもの。
それが余計に、悪いことを予告するような気がしてならない。
「……ゆりさんは、亡くなりました」
「……え?」
「もう少し早くに処置できてれば、助かったかもしれません」

