「なんかさ、スッキリしたい事でもあるんじゃないの?」
……え?
突然、図星を突かれた。
何でわかったんだ?
美容師ってエスパーなのか?
「髪と一緒にバッサリ切り落として、スッキリ新年迎えようよ。」
失恋して髪切るって、昭和かっ。
でも、なんかもういいかって。
私の心情をわかってくれたからか、この人に委ねてみたくなった。
「……お願いします。」
こんな自分、来年まで持ち越しちゃいけない気がするし。
「オッケー。まかせて!じゃあ、どれぐらいく?」
彼は鏡ごしに自信満々の笑顔を見せた。
素敵な営業スマイルご馳走様です。
「うーん……お兄さんに任せます。
好きなように、お兄さんが1番良いと思う髪型にして下さい。あ、女子力全開で。」
「はははっ!女子力全開ね!了解!」
どうぞ!とクルッと椅子を回転させ、私をシャンプー台へと導いた。

