つーか、何よこの状況。
早くその手をどけて下さい。
私がその人の手を払い、失礼します。と言って横をすり抜けようとしたその時、


「おいで。」

そう言われたと同時に、グイッと美容室の中に引っ張られた。


カラン……、ガチャ


へっ!何っ!?

「ちょ、ちょっと、何なんですか!」

この人、何なの!
急に髪の毛触るわ、勝手に美容室に入れるわ。

「そのまま新年迎える気?」

その人は全く悪気はないと言った感じで、私にそう言った。
余計なお世話だ。

「ほっといてください。帰ります。」

美容室を出ようとすると、その人はドアの前に立ちはだかった。

「まぁまぁ、とにかくそこに座りなよ。」

私の向きをクルッと変え、肩を押して鏡の前に座らせた。
そして、椅子の後ろに回って私の髪を全部前に持っていき、鏡を見ながら長さの確認をしている。
美容師お得意の仕草だ。


「さ、どのくらい切る?」

彼はシレッとした顔で言った。
は?何言ってんの?

「何言ってるんですか?切りませんよ。」

私はムスッとした顔で言う。

「何なんですか、この荒手の勧誘は。」

「そんな、勧誘だなんて失礼な!親切!」

親切って、勝手に連れてきて、無理矢理切って、お金取るんでしょうが!
それのどこが親切よ!