あんなに大恋愛で付き合い始めたのに。
時の流れって残酷。

あー。泣きそう。


私はふと立ち止まって、美容院のガラスに映った自分を見た。
そして、ふと呟く。

「私って、こんなだったっけ。」

そこには、彼と出会った頃とは別人のような自分が映っていた。

何ヶ月切っていないかわからない、伸びきって傷んだ髪。
してないわけではないが、明らかにあの頃より手抜きのメイク。
服だって、デートに何を着て行こうか前日にルンルンで決めていたのに、今やテキトーなシンプルな白ニットにデニム。
オシャレより防寒重視。

そんな姿を見て愕然とする。
自分が思っていたより私は、女を放棄していたようだ。
言われるまで気づかなかったなんて。
そりゃ、フられて当然だ。


中では男の人が黙々と掃除をしている。
黒髪のふわっとした短髪で、顎先に少しだけ髭が生えている。
服は、青いニットにデニム。
美容師さんってなんであんなにシンプルな物をカッコよく着れるんだ?

しかし、美容院って大変だなー。
こんなギリギリまで働いてるんだ。
小さな美容院で、1人でやっているようだ。でも小さいっていっても、今から1人で掃除してたらどれだけかかるんだろう。