パチッ


「happy new yearー!!」

小野さんのその声と同時に私は目を開けた。


……。

そこに映っていたのは、
見たこともない新しい自分。
こんなに綺麗にメイクをしている私は初めてだ。自分で自分を少し綺麗かもと思ってしまうくらい。


年が明けた感動と自分が生まれ変わった感動とで言葉も出ない。

そんな私を小野さんは、ぎゅっと後ろから抱きしめた。


「どう?素敵でしょ?」

私の顔の横でそう聞く。
私は無言で何度も頷いた。
嬉しくて涙が出そう。


「ちょっと!せっかくメイクしたんだから泣くなよー!」

そうだ。崩れちゃう。
私は必死で涙を堪えた。

そして、じっと鏡に映る自分を見ているとあることに気づく。

あれ?おかしいな?口に何も塗られていない。確かに何か感じたのに。