初恋の始まりは病院で。

夜21時半…





「拓也…具合は、どう?」





家族がやってきた。





晴兄ちゃんはもう21歳。





すっかり大人になっていた。





「だ・い・じ・ょ・う・ぶ」




まだ、声が出ない。





お母さんはそう…とだけ言い、





静かな空気に包まれた。





…ダメだ。






「か・え・っ・て。つ・か・れ・た」




何にもしないのに疲れがたまる。





じゃぁ、帰るな?拓也またな






そう言って帰る





晴兄ちゃんとお母さん。






ごめん…みんな





そう一言




心の中で呟き瞼を閉じた。