初恋の始まりは病院で。

コンコン



2回、僕の部屋に音が鳴った。



「はぁい!!!」




僕はお母さんかと思った。


ガラッ



そういう音と共に入ってきたのは




「カナッちゃん…!!!」


カナちゃんとカナちゃんのお母さん




「たっくん…」



カナちゃんは僕の顔を見るやいなや



泣きそうな顔をしていた。



…どうしたのかな?



「拓也くん、ごめんなさいね…カナがどうしてもって言うから、連れてきたの。これ、ケーキよ。食べてね?」



カナちゃんのお母さんが紙袋を



僕の手に持たせた。



「わぁぁっ!!!ケーキだぁ~。ありがとうございますっ。おばさん!!!」



僕は甘いものが大好きだった。



おばさんは僕の嬉しそうな顔を見て



カナちゃんに



「カナ、お母さん出とくから、きちんとお話し、してきなね?」


カナちゃんと目線を合わせて、


そう言ったおばさん。



「拓也くん、またね?」


おばさんは僕にお辞儀をして


僕の病室から出ていった。