初恋の始まりは病院で。

「拓也くん、これで最後だから頑張ってなー。」





優しい丸中せんせいがそう言った。








僕は、頷く。コクリ、と。







最後の検査は








僕の大嫌いな注射だった。








今日のは、針が大きくて─。







泣かないと決めていたのに、









「うっ…………うぇぇぇぇぇぇぇーんっっっいたっ…いだいよぉ~…!!!」









泣いてしまった僕。






「はい、拓也くん。終わったよ~?よかったね。もう、しないからね~?」








中村せんせいが、






僕の背中をトントンとしてくれた。







「拓也くん、偉かったな。またプールしような?」






泣いたのに丸中せんせいは僕の事を








『偉かったな。』





そう言った。泣いたから偉くないのに






「っうんっ…せんぜぇ…あっヒックありがどぉごじゃいましだぁっ…」





泣きじゃくりながら丸中せんせいに







頭を下げた。