俺、共犯者と秘密共有中。

「……びっくりした?」


 とくに怒った様子もなく、へら、と力のない笑みを見せる聖也が逆に怖くて、俺の心は一気に罪悪感に駆られ、すぐに謝ろうとした。


 もしかしたら怒りなんかよりもずっと、……悲しみのほうが強いのかもしれない。


 しかし聖也は、手のひらをこちらに向け、そんな俺を止める。


「待って、俺、別に責めたいわけでも、謝ってほしいわけでもなくて。」


 聖也の考えが見えずに次の言葉を待ちつつ見つめていると、聖也は目を伏せた。


「……本当は、謝らなきゃいけないの、俺の方なんだ。」

「え……?」


 訳がわからずに、俺はただ唖然とする。


 聖也は一向にこちらを見ずに、前髪を掻き上げた。


「……ここからは、いい知らせ。」


 そして、もう一度、コーヒーに手を付ける。


 この先に待っている何かに、俺は密かに胸を高鳴らせた。


「……美咲はさ、純平のこと、好きだよ。最初から。俺と付き合う、もっと前から。」


 俺の頭に、最後の日の美咲ちゃんの言葉や表情が過って、俺は聖也の言葉が信じられなかった。


「……それで、俺が謝らなきゃいけないっていうのは、付き合う前、俺嘘ついちゃったんだ。」

「嘘……?」

「……うん、先に言っとくけど、俺とお前、これでもうおあいこなんだから、怒んなよ。」

「……俺、怒れる立場じゃないし。」


 俺の言葉に、聖也が苦笑いを零した。


 そして、手元に視線を落とし、意味もなくコーヒーをかき混ぜ始めた。