俺、共犯者と秘密共有中。

 そうして、気が付いたらすっかり陽は落ちていた。


 この1週間、何度も見送った背中。


 今日はその姿を見るのが、怖い。


 本日2本目の映画を見ながら、俺は華奢な手を握る力を強めた。


 彼女が帰るのは、いつも10時頃。


 この映画が終わる頃にはきっと、……そのくらいの時間になる。


 俺は映画には全く集中出来ずに、この1週間のこと、ひとつひとつを丁寧に思い返していた。


 ……やっぱり心残りなのは、1日目のことかなあ。


 お酒のせいで記憶が飛んで、何ひとつ、覚えてないし。


 何回か料理も作ってもらったけど、全部美味かったな、まあ今日は、……俺が台無しにしたけど。


 小さな2人掛けのソファ。


 この隣が空席になった時、俺は平気で居られるだろうか。


 たった1週間。されど1週間。


 だけど、……俺にとって、こんなに大切だと思った日々はあっただろうか。


 映画がクライマックスに近づく。


 俺の目から、涙が溢れ出した。


 映画のせいにしてやろうと思っていたけれど、その中身はどうやら泣くようなシーンではなかったらしい。


「純平くん、……ここ、泣くところじゃないよ。」


 映画は全く見ていなかったけれど、美咲ちゃんの言葉で気づかされた。


 じゃあなんで。


「なんで美咲ちゃんも、泣いてんの。」

「……わたし、涙脆いの。」

「……俺だってそうなんだよ。」

「……ウソ、この間わたしが泣いてた時も平気そうだった。」

「……ほんとは堪えてた。」

「……ウソだ。」


 言い争っているうちに、エンディングテーマが流れ始めた。


 壁掛け時計の針が、10時を差した。