俺、共犯者と秘密共有中。

 その勢いのまま、階段を駆け降りた俺の足は、その真ん中くらいで、すぐにペースを落とした。


 美咲ちゃんは、アパートの駐車場、ただ静かに佇んでいた。


 昼間の湿っぽい空気も、夜になると、少し風が吹いていて、緩和される。


 美咲ちゃんの柔らかそうな髪が、その微かな風にさらさらと揺れていた。


 タン、タン。


 鉄製の階段は、重く、足音を響かせる。


 俺はゆっくりと、残りの階段を降りて行く。


 その音に、美咲ちゃんが振り向いた。


「……純平くん。起きたんだ。」

「……ああ、うん。どうしたの?いきなり外に……。」

「ちょっと外の空気吸いたいなって。」


 美咲ちゃんは、特に変わった様子もなく答える。


 変に慌ててしまった自分に恥ずかしくなりつつも、安堵の息を吐いた。


「聖也の所に、……行くのかなって思っちゃった。今日、1周年、だし……。」


 無意識に、口から飛び出た言葉に口元を押さえるが、もう遅い。


 美咲ちゃんを見れば、憂いを帯びた表情をしていた。


「……上手く、いってないの。」

「……え。」

「わたしと聖也。上手く、いってないの。」


 俺が何度も瞬いていると、美咲ちゃんはあたふたしながら弁解を始めた。


「あっ、だから純平くんと、こんなことしてる訳じゃ、なくて、……その、わたしが、悪いの。全部。」


 そして微かにふっと引きつった笑みを零したあと、深いため息と共に、項垂れた。